ドニー大先生来日~その2~
須田雅美
2010/3/10
何度も来日している外国人は、東京では電車を乗りこなして移動をします。 車での移動は時間が読みづらいのが分かっているからです。 ドニーとハイディも宿泊先の品川からジェイアール・ヤマノテ・ラインで「オカチマンチン」まで自分達で来てくれました。 以前はお迎えに上がっていましたが、2人っきりのほうが電車でもラブラブできていいかな?と思って自由にしてもらいました。 ドニー大先生のレッスンはスパルタです。並大抵のスパルタではありません。我が子を崖から突き落として、這い上がってきた者だけを子として認めるライオンの親のようだ…と以前にも書いた通りです。
崖の上のドニー
彼は現役を引退してから数年、以前よりもレッスンを増やして月火水はレッスンの日と決めていましたが、3日連続してレッスンをする姿を見ることはほとんどありませんでした。 「オトナなんだから、ちゃんと働けよぉ!」と陰で文句を言ったりもしていましたが、その反面、彼がキャンセルせざるを得なくなってしまうこともちゃんと理解していました。彼は「怠け者」だからキャンセルするのではなく、彼が1組のレッスンごとに費やすエネルギーといったら半端じゃない量だから、本当に疲れてしまうのです。 1日目のレッスンで新しいチャチャチャを見てもらうと、いきなり「ガッカリだよ(´へ`)」というコメントを頂戴しました。あはぁ(*θ*)彼は引退しているダンサーにだって、容赦はしません。 「お前は以前、ココはこうやって身体を使ってたじゃないか!」と言われ、指導を受けてちょっと良くなってくると「もう4年ぐらいお前がこうやって踊るのを見てなかったぞ!」と過去と比較されてしまいました。コレって結構ツライ。「私達、引退してるんだからちょっとぐらい大目に見てよ…。」と言いたくなります。 が、しか〜しっ!自分達のダンスを上達させようとして受けるのならば、現役だろうが引退していようが関係ないっ!という信念のもと、絞って頂きました。はい、もちろん、途中でバシバシとアチコチを叩かれ、骨折が治っていない肋骨をギュウギュウとねじられ…痛かったです(泣)。 痛かったし悔しかったので忘れません!人間の脳は、感情をともなった事柄を忘れにくく思い出しやすいんだそうです。 三井くんと勉くんもビビリながらレッスンを受けましたが、あっという間の40分の興奮をしばらく忘れないで欲しいと思います。
今回も、「ハイディも一緒に行くから、できたらレッスンをアレンジしてやってくれないか?」とドニーから言われていたので、みんなにお知らせしました。私達がジャイブを好きになったのはドニーの友人で、ハイディのおじさんでもある"The King of Swing"のバディー・シュイマーにレッスンを受けてからなんです。 ウェストコーストスウィング(WCS)はジャイブのルーツの1つ。現役選手でジャイブにWCSのステップが入っていない人なんていないと言ってもいいぐらい!でも、そうとは知らずに「ジャイブのバリエーションステップ」としか認識していないダンサーやコーチが多いんじゃないかな? ハイディはWCSのチャンピオンだっただけじゃなく、インターナショナルスタイル(いわゆるボールルームダンス)も経験しています。アメリカンダンスアイドルではトップ4まで進出しましたから、様々なダンスも経験しています。そしてなんといっても今はドニー・バーンズというラテンダンス界を牽引するような人と四六時中一緒にいるのですから、ラテンダンスの英才教育を受けているようなものです。
バディー・シュイマーと明
そんなハイディに、智美ちゃんはジャイブを受けてたかな?ドーリン達もジャイブを受けていましたが、他の種目に関しても彼女の意見を聞き入れるほど信頼をしていました。横浜校の谷ちゃんとパートナーのゆきえちゃんはショーのエントリーなんかに使えるように…って、にWCS挑戦していましたよ!偉いねぇ…色んなことに挑戦するって。 私達は今回、大好きな曲に振付けをしてもらいました。WCSは体重のかけ方やコネクションの作り方がボールルームダンスとは違うので、カッコよく踊れるには時間がかかりそうです。WCSってどんなダンス?って見てみたい方は、ハイディとベンジーのレッスンビデオBenji & Heidi west Coast Swing Dance Workshopで検索してみて下さい。「あ!これ、ジャイブで見たことある!」ってステップのパターンが出てきますよ。 ハイディのレッスンは、社交ダンスの私達が受けるだけではもったいない!と思ったので、インターネットで色んなところに連絡をして告知を試みました。 そんな中で、ニューヨークでハイディのレッスンを受けたことがあるというWest Coast Swing Japan のKyouju(山本きょうじ)さんという方と知り合うことができました。 彼は東京でWCSの普及活動を熱心にしていらっしゃる方で、個人レッスンも受けに来て下さいましたが、六本木のクラブでグループレッスンをするようにアレンジもして下さいました。かなりぎりぎりに告知をして頂いたのですが、フロアは動くのが大変なぐらいイッパイだった…と、付き添ったドニーが驚いていました。こちらの模様はhttp://www.westiejapan.com/をご覧下さい。
ドニー達から解放(?)された私達は、フィリピンから到着したセルゲイとメリアに会うために品川へ行きました。この日はセルゲイくんのお誕生日だったのです。 せっかくだから、彼らの兄貴分の横田健司くんにも集合をかけ、「ミートパーソン(肉人:にくんちゅ?)」セルゲイのリクエストにより焼肉屋さんでバースデーディナーとなりました。 私達からのプレゼントは白い帽子…“Only God can judge me”「神のみぞ我を裁かん」というメッセージとともに、キリスト(だったと思う…)が手描きしてあるんです。 このメッセージ…コンペティターとしてはジャッジへの皮肉みたいで面白いでしょ?それにしても、顔が長いから帽子が似合うんですよね。家にたくさんコレクションがあるって言ってました。メリアにも白いベレーをあげたら、「わー!マフラーとお揃いの色の帽子だ。欲しかったの!」と喜んでくれました。 けんちゃんはiPod nanoを、「練習に使ってね。」とあげると、「ヨーロッパじゃこの大きさって買えないんだよ〜!」と、これまた大喜びでした。
バースデーボーイのセルゲイ君
よく、「来日する外国人ダンサーを最初に甘やかすと、ワガママで生意気になる…」と言われていますが、もともと彼らをコントロールしようとするから、反発されてるような気持ちになるんですよ。 日本人の労働意識に近づけようったってムリムリ。これはドニー大先生からも色々と聞かされて外国人の扱い方をお勉強しました。北條章宏先生にはお知り合いが多いので、結構な数の外国人ダンサーやコーチと関わっていますが、感じの悪い人は少ないです。中でもロレイン・バリッキは感謝の気持ちを忘れない人…という印象です。 北條先生がお食事に連れて行くと、次に会う時にはお礼のプレゼントを持参したり、驚いたのは「まだ自分がアマチュアだった頃、日本インターに招待選手として出場させてくれたことを、今でも感謝しています。」と前夜祭というオフィシャルな席で北條先生にワインをプレゼントしたことでした。 セルゲイやメリアも負けてないですよ。彼らは、ロンドンでしか買えない明先生のタバコや、シャンパンなどを「いつもお世話になり、ありがとうございます。」とお土産を持参し、スタジオを使わせてあげると、お礼に…とお花を届けてくれたりする、律義で心の優しい子達です。これからも上手に育てよう…。
バースデースマイル