Superdance South Africa その2
須田雅美
2009/10/6
CMなどの時間もきちんと計りながら撮影していくので、休憩が数回ありましたが、その間にメイクの女性達が壇上へ飛んできて、ジャッジのメイク直しをしてくれました。手際よくブラシでパウダーを塗ってまわってたけど、私、そんなにテカッてたのかしら?心配だわ(==;)。
さて、後半はショーダンスの競技。まずは中国のダニーとヴィヴィアンが中国の曲でルンバを披露。何を歌っているかは分からなくても、切ないメロディにのせた二人の情感こもったダンスで、観客の心がキュ〜ンとなっているのが手に取るように分かりました。ジャッジも同じで、みんな口々に涙が出そうだった…と感想を述べました。
ラッキーとンベイジーはヒンディミュージックで3種目を混ぜて踊りましたが、いかんせんテクニック不足の為、種目と種目のつなぎ目がスムーズにいかなかった…。だから表現も「動きたいんだけど、動けません。」になってしまったので、「クラブとかに出掛けて、自由さを取り戻しておいで。」と私はコメントしました。
コメントと言えば、私は昼間のうちにリハや前日のダンスを見て感じた事をメモして持って行きました…日本語と英語のミックスで。私だけかな?と思っていたら、マイケル以外のジャッジもメモを持ってきていました。
モルドバのドーリンとロゼリーナはスィングを取り入れたジャイブ。衣裳なんかも、彼の靴がストーンでキラッキラ、帽子とジャケットはスパンコール…と、頑張ってました。まぁ、昔からジャイブのショーと言えばこんな感じのブロードウェーっぽいコスチュームを着る人は多いですがね。でも、踊りが最高だったんです。練習を見ていた時には「ちょっとスウィングっぽさが強すぎて重いかな?」と感じたのですが、本番ではそうでもなく、彼のマッド(気狂い)にも見えるほどの集中力とエネルギーに加え、振付けの楽しさで会場は大盛り上がり!ジャイブテクニックには少し足りないものもありましたが、総合すると高い評価を出さざるを得ませんでした。マイケルとドニーと私は思わず顔を見合わせて「スラヴィック、マジでヤバイぞ〜〜」と腹話術のように小声でつぶやいてしまいました。
その後にはアンドレイとナタリーが「枯葉」でルンバを踊りました。パソの時に来ていた黒のドレスとは真逆の真っ白なドレスで登場したのは効果的でした。彼らのダンスはキレイだったけど感動するほどのテクニックじゃなかったのですが、カメラマンさんが自分のボディーに装着したカメラで彼らの回るまわりをグルグル走りながら撮影している映像を見るとスゴイ技を踊っているようにに見えるから、テレビを見ている人達には「アメイジング!」だったのではないでしょうか?
映像のマジックですね。
さあ最後のスラヴィックとアナ…ロシア語のしぼり出すような男性のしわがれ声のジプシー風音楽に合わせ、まずはスラヴィックがソロを踊る…苦しそうな表情やもがくような動きはセクシーそのもの!!「これだよ、これ!これが見たかったんだよっ!!」と会場にいる全ての人がまばたきもしないで見つめていたと思います。そこへアナが登場。ジプシーをイメージしているのでしょうが、う〜む…センス悪すぎ。ドレスはまるで手作りドレス…そして、表情の作り方は安っぽい娼婦のよう。ある意味ジプシーっぽいのかな?でも、違うと思うけど…。アナってお化粧すると本当に美人だし、スタイルは抜群とは言わないけど、以前はとても素敵なドレスばかり着ていたので、ファッションリーダー的な存在だったのにな…残念。非常に残念。作品としてはとっても良いもので、高いテクニックを要求される振付けと、スラヴィックのスラブ系民族独特の暗い雰囲気が音楽にマッチしていて、できれば全てに10点満点を付けたかった!でも、アナのテクニック不足、作品のコンセプトの理解とテクニック不足による表現力の低さ、ドレスの選択ミスにより、30点満点はあげられませんでした。横をチラリと見ると、ドニーも私と同じ評価。コメントでは最初からこのぐらいのパフォーマンスを見せて欲しかったとドニーが言い、私は2人で踊ってる感が見たかったと言いました。
ショーダンス競技の時には途中でみんなが計算できないよう、1カップルずつの得点発表がありませんでした。だから表彰式は本当にドキドキものでした。私、ドニー、マイケルは「スラヴィックはどうかなぁ…?」と同じプロとして世界のトップダンサーの結果を心配しました。
結果はリバースオーダー…下位からの発表で、5位がラッキーとンベイジー、4位がダニーとヴィヴィアン、3位がアンドレイとナタリー、そして2位はアマチュアのドーリンとロゼリーナ。そして優勝はスラヴィックとアナ…逃げ切りました!圧勝とは言い切れなかった勝利に、壇上のジャッジ陣は全員「よかったぁ」とホッと胸をなで下ろしたとさ。よかった、よかった。
とにかく終わりました。南アフリカでのジャッジとしてのテレビ出演。終わってしまえばどうって事無い…とっても特別な、良い経験でした。
ところで、私はドニーから、「Live TV showだ!」と言われていたので、帰国してからも「あ〜ぁ、須田雅美、ライブであんな程度の英語かよ〜〜」とガックシきてたんだけど、インターネットで番組表をチェックすると、どうやら違うみたい。編集をされて数回に分けて放映されるようです。
でも、人前でライブだった事には変わりはありませんね。旅の恥はかき捨て…自分のテリトリー外での緊張感を解き、リラックスさせてくれるいい言葉だと思います。でも、日本人はこの「恥」っていう文化のせいで大胆な行動を制限される場合も多いと思います。私は今回のジャッジで自分の採点にやましい部分はないし、コメントでは全て正直な自分の気持ちや考えを述べたのですから、恥かしい事は一つもないのだ。「あんな程度の英語」は今後も努力を続けるもん!お疲れ、私!