Superdance South Africa その1

須田雅美

2009/10/5

午後8時ちょっと前、楽屋から呼ばれて壇上のジャッジ席へとうながされました。テレビでライブって聞いていたので、「これじゃ8時に始められないのでは?」と思いましたが、南アフリカ時間ってヤツかな?とスルーしました。ロシアのポポフさんはすでに壇上でスタンバイ中…お化粧は必要なかったのかな?ドニーやマイケルはしてもらってたけど…。

TVショー「Superdance South Africa 2009」の司会は…名前わかんないや。
作り笑いが素敵な白人男性とあまりお利口さんに見えないキンパツの白人女性。
コメンテーターとして元世界エキシビションダンスチャンピオンのAnnaさんと、
世界プロアマチャンピオンのポール・リチャードソンが別の場所でスタンバイしていました。

この番組はすでに3ヶ月ほどのシリーズとして南アフリカ数ヶ所でオーディションをしてきていました。勝者には20,000ランド(約30万円)と、9月27日(日)World Superdance Championshipでワールドクラスの外国人選手を相手に戦う権利を与える…という番組で、毎週水曜日夜9時半から30分の番組として放映しているようです。

金曜日に行なわれた今回のイベントの説明とリハーサルでは、ハッキリ言って誰も内容をクリアに把握できていなかったと思う。このイベントに一枚かんでるドニーですら!全てのスケジュールや内容はE.TVによって台本が書かれたもので、わかっていたのはただ、「テレビで放映される」という事だけでした。

ディレクターのキューで、まずはコメンテーターとジャッジの紹介。その時に、「Masami,ちょっと面白いバッグを持ってきてるんだよね?」と早速ふって来たから「これっス」と例のANGEL/DEVILバッグを観客に見えるように高くあげてキラキラさせました。で、「今の気持ちは?」と言われたので「できればずっとこっちでいきたいと思ってるけど…」とANGELサイドを見せ、「場合によってはこっちに行くかもね。」とDEVILサイドにひっくり返しました。司会者が盛り上げベタで、意外とおとなしい観客は好きに楽しむってテンション…米国人のようなクレイジーさは無し。

Yo Yo、もっと盛り上がっていこーぜ、ベベ(ラップ調で読むべし♪)

ダンサー達が登場し、競技と審査の方法が説明されて競技開始。この競技は全てがソロダンス競技。5種目のうちの1種目と、自分の好きなショーダンスの2つの合計点で順位が決定します。ジャッジは、そのカップルを誰かと比較する事なく個々に評価する為、技術・芸術性・観客へのアピール度の3つをそれぞれ10点満点、計30点満点で採点をします。

まずはスラヴィックのルンバから競技開始。「うわ〜、アナが勝手に踊るから、あれじゃぁスラヴィックが踊りきれないよ。カリスマ消えてる…しかも変なドレスだし。」と随分ネガティブな感想ばかりがアタマの中をグルグル。選手の演技が終了すると即座に採点表が回収される為、ズババッと3つの枠の中に数字を書き込みます。司会者にうながされて選手達が審査員の近くに立ち、集計を待つ間にコメントを聞かされる。「あ〜、私に当たりませんようにぃ…」といつになく消極的な私。誰かが長く話したら全員がコメントする時間は無くなるので、「みんな、イッパイしゃべってね!」と祈っていました。ロシアのポポフさんはロシア代表をけなすワケがありませんし、ハイディは全員にナイスなアメリカ人。でも、トップダンサーだったマイケルやドニーは私とほぼ同じ意見で、「期待はずれだ」的なコメント を述べてくれました。でもまだ時間が!「さぁ、Masamiの意見を聞いてみましょう。」ときたので、「ワールドレベルのダンスで素敵でした。でも、アナ、ごめんね、私はそのドレスが嫌い。」と言っちゃった。だって水着の上に巻く安っぽいパレオみたいで太って見えちゃったんだもん。でも、スラヴィックはドニーに「梱包用のプチプチ」みたいだって言われてました。ヒドイね…。

スラヴィックの後は中国のダニーとヴィヴィアンがジャイブを踊りました。彼らは日本インターにも出場した選手なのでご覧になった方も多いと思いますが、中国人らしく身体にトーンがあり、筋力も強く音楽表現も悪くありません。ヴィヴィアンは小柄で可愛く、ダニーに比べて経験や身体の強さはあまりないけど、男性によくまとわりつく良いパートナーです。私は「アジア人だって西洋の音楽に合わせてちゃんと踊れるっていう事を見せてくれた二人を、同じアジア人として誇りに思う。」とコメントしました。

次に出てきたのは南アフリカのラッキーとンベイジー。サンバを踊りました。他の出場者と比べたら断然経験が浅いので、ベーシックテクニックなども全然知らないって感じでした。でも、怖がらず、インターナショナルな振付けを頑張って踊りきりました。

次にモルドバのアマチュアカップル、ドーリンとロゼリーナがチャチャチャを踊りました。彼らは現在香港に住んでいて、私達の師匠でもあるドニーとゲイナー、そしてゲイナーの夫のミルコ・サッカーニにレッスンを受けているようです。前日の顔見せコンペで、すでに観客の心をつかんだ彼らのダンスは、若いエネルギーに溢れ、踊る事の楽しさを伝えてくれました。観客の反応を見ていると、アピール度の点数を低くする事はできない状況でした。ここで各ジャッジに「スラヴィックやばいんじゃないか?」という気持ちが頭の中をよぎったハズです。

最後にカナダのカップル、アンドレイとナタリーがパソを踊りました。私達は彼のことをジャケットさんと呼んでいます。衣裳がいつもジャケットだったからです。女性の方が大きく見えるのですが、頑張ってイギリスの競技会にもコンスタントに出場し、まぁまぁの成績を得ています。旧ソヴィエト連邦出身ですが、北米にいるせいか、自己アピールは押し付けがましいほど。でも深くテクニックを追求していないようで、パフォーマンスが薄っぺら。

ノーマルダンスの結果では、スラヴィック大ピンチ!

この続きは次号でね…