お芝居のお稽古

須田雅美

2009/3/31

3月12日(木)夕方に「幸せの向こう側」のお稽古は始まりました。まずは顔合わせと台本読みからスタート。役者さん達が与えられた役柄を自分なりに演じながら読み進んでいく「台本読み」に参加をさせて頂いただけで、ストーリーがよ〜く分かりました。もちろん、自分達の「踊り番人」という役柄が、どこで何の番をしているのかを知る事もできました。役者さんが台本を読んでいると、ところどころで井田さんが「もっとテンポあげていこうか!」とか、「その部分をメッセージとして強く出したいところだから、ボリュームを下げないで!」「お客さんを泣かせるつもりで、自分が本気で泣くぐらいやっちゃって!」などと指示を与える事で、出演者全員が「自分達が演じる芝居のコンセプト」を把握していくような仕組みのお稽古でした。

この「幸せの向こう側」のコンセプトは、「親子の絆」。主役の光輝と百香のギクシャクした義理の親子の関係、光輝の亡くした妻子で、今は霊界で死神となったファラフィーと息子トリフォン、その彼らと霊界で結ばれて義理の親子関係にある心優しい死神アルフォン…偶然に出会った他人同士が思いやりを持ったり反発をしたり、様々な感情のぶつかり合いを経て、人と人のつながり、親子の絆を強くする…というストーリー。井田さんの演出では、霊界という現実離れしたイメージの世界を、ファンタジックかつ人間味あふれる物語として描いています。

私達が演じる「踊り番人」… 霊界ではそんなに偉い人ではないみたい。閻魔様の番犬みたいなものかなぁ?神社にいる狛犬とか…?でも、一幕目の初っ端から踊らせてもらうんです!お芝居のプロローグ的な部分でガッツリ踊り、この部分の役者さん達の振り付けもお手伝いさせて頂きました。他にも生演奏の津軽三味線と和太鼓に合わせて踊るシーンもあります。北條組が和物ですよ!驚きじゃありませんか\(゜ロ\)(/ロ゜)/!?って驚いてるのは自分達か…。何を隠そう、ドニー大先生にあるアドバイスを受けてからは、日本の曲で踊る事は絶対にしなかった私達ですから、驚きの初挑戦なのです。ここであまり内容を教えちゃうと観に来て下さる方々の楽しみを奪ってしまうので止めときま〜す。

<三味線番人の北村姉妹>

役者さん達の中でも初版の台本にセリフが無い人達は、少しでも出番を増やそうと一生懸命なのがひしひしと伝わってきます。そして、一度ゲットした出番もカットされないように懸命に演出家の要望に応える努力を続けます。ダンスシーンでみんなよりも遅れてしまった…と感じたある男性は、『みんなにナイショ』で上野のスタジオまでレッスンを受けに来ました。ある女の子に「役者さんって、普段何をしてるの?」とたずねると、「私はアクションをやるんですけど、事務所(プロダクション)に入っていないので、基本的に自由人(フリーター)です。」と教えてくれました。もともとやっていたジャズダンスやバレエなど踊りを武器に華やかな役をゲットする子、空手や柔道などを特技として派手な殺陣のシーンをゲットする子…色々ですが、「私は役者です。」と胸を張って言えるようになるには、たくさんの苦労を乗り越えなければならないんだろうな…と察する事は容易でした。ルックスに関しても、美男美女はほんの一握り…っていうか、この役者の世界では演出家の要求通りに動けなければ、美しさなんて無意味に近いかもしれません。お稽古場を見回すと、どの役者さんも個性的で、それを武器にできる世界なんじゃないか?とまで思わされました。それにしても、頑張ってゲットした役を絶対に守る!という「自己主張」と、出演者全員の乱れの無いアンサンブルが芝居を作るという「連帯感」のバランスを保つのは非常に難しいと思いましたが、必死で努力する役者さん達を見ていて、とっても清々しい感動を覚えました。

本業の都合でお休みしていた間にお稽古は進み、久しぶりに参加してみると随分セリフが書き加えられ、セットを考慮した動きになっていました。お芝居の「通し稽古」を初体験しましたが、最初の台本読みとはまるで違って感じるほど、笑いあり涙ありのファンタジックなお芝居になっていました。が!これからが追い込みのようです。私も頑張るぞ〜。

また報告します(努力します)。