ロンドンインターに行ってきました アマチュアの部

須田雅美

ロンドンインターはDance & Listen OrchestraとRoss Michellというバンドが演奏を担当します。今回はどちらもロス・ミッチェルさんが指揮をしていました。

<ロスが指揮するDance&Listen Orchestra>

最近のダンスCDは海賊版みたいな踊れる曲の寄せ集めや、トッププロがデモ曲として使った曲ばかりを集めたCDがたくさん出ていますよね。でも、私はちょっと古臭くてもUK Championship、Blackpool Dance Festival、London Internationalで掛かる曲が好き。コンペの雰囲気を思い出して身体をギュウギュウ使ってブリンブリン踊れる…そんな気がするから!サンバの練習ではSomething in My Eyesを掛けたりすると、いまだに気分がMaxになります。

<1人シンガーが増えたRoss Michellバンド>

あまりにもアマチュア部門に魅力的な選手がいないので「ラテンドレスは丈の長い物が結構多いな…」とか、「ロックファン(ファンポジションからのフィガーを踊る時、男子がチェックドフォワードウォークではなく、クカラチャを踊る事)をする男の子が少し減ったかな…」なんてボーっと見ていましたが、「ボールルームではアマチュアでもちゃんと1つ1つの運動や、その流れのイメージを辿りながら踊る選手もいるなぁ…」なんて感心したりもしていました。でも、やっぱりボーっとしてたかな(^_^;)
そしてアマチュアのセミファイナルが終わると、観客の皆さんお待ちかねの(?)1回目のジェネラルダンスタイム。審査員の先生方も自分のお席に行ってリラックスします。

ちょうど私達の席の前でジャッジをしていたのはMs.キャロリン・スミス。機能性やデザイン性に富んだダンスシューズを製作するイタリアのシューズメーカー「Dance Naturals」の創業者でもあります。彼女はもともとスコットランド人。彼女のご両親「ドン&モイラ」はロンドンでフラットを経営し、イギリスにダンス留学するたくさんの日本人ダンサーの面倒をみて下さいました。北條章宏先生と山口慶子先生のご紹介で、私達も大変お世話になりました。彼女はアマチュア時代からトップダンサーとして活躍し、旦那様の祖国イタリアに渡り、例えばリッカルド・コッキ、ステファノ・ディ・フィリッポ&アナ・メルニコヴァ、アニエロ・ランガラなどたくさんの選手を指導しています。ドニー大先生と同様、スコット人らしく情熱的な指導をしている事は間違いありません。
11月1日からスラヴィック・クリクリヴィー主演のドキュメンタリー映画「ボールルームダンサー」でも、彼の再起をかけたビッグコンペであるブラックプールで、スラビックとアナにアドバイスをしているシーンが出てきます。プレビューでもそのシーンは出てきますよ(^_-)

<Ms.キャロリン・スミスとお話しする北條章宏先生>

プロのセミファイナルが始まると、今度はアマチュアのグランドファイナルまで一気に終えてしまいます。 この競技会でのセミファイナルとグランドファイナルはボールルームとラテンを交互に1種目ずつやってくれるので、出場する選手にバテが少なく、友人が出場している場合も彼らの体力を心配しないで見ていられる(^○^)そして観客としては見飽きなくていいシステムだなぁ…と思います。日本では興味の無いカテゴリーは「トイレ休憩」として席を立ってしまう事が可能ですから、広い会場が「ガラ〜ン」として寂しくなる事が多いですよね。選手達はたくさんの観客に見てもらえたら、心から楽しんで良いパフォーマンスをするし、イベントとして大成功に見えると思うんだけど…。

明先生がメモを取るためにプログラムを握っていたので、いいな…と思う選手がいても名前をチェックできませんでした。でも、「別に名前なんて知らなくてもいいや…」ってぐらいのインパクトの低さだったのよね(-“-)

アマチュアボールルームのファイナリスト、中国のヤン・チャオ君のパートナーが激太りしていたのには大ショック。そのせいか動きがもたついていて重かった。アジア人=痩せていて若々しいってイメージがぶち壊しだわ(=_=)

明先生はフィンランドのMARKUS HIRVONEN & MARIIA HIRVONENをいつも応援しているらしい…理由は自分と同じく、小柄だから。ユースの頃から見てるけど、身長が伸びてないみたい。しかも2人とも顔立ちが子供に見えるので、フレッシュに見えて得なのか大人っぽさが足りなくて損なのか…今回も残念ながらファイナル入りは果たせませんでした。

チャンピオンになったエマニュエル君のダンスはゆっくりとした動作のコントロールに欠けるため、音楽性を感じない。確かにエナジェスティックではあるけど、あの踊り方だったら、疲れなんて感じないと思う…。チャンピオンというには踊りに重みが無いので小粒なキャラって感じ。

アマチュアボールルームの結果
1.) EMANUEL VALERI and TANIA KEHLET (Denmark)
2.) SIMONE SEGATORI and ANNETTE SUDOL (Germany)
3.) MAREK KOSATY and PAULINA GLAZIK (Poland)
4.) YANG CHAO and TAN YI LING (China)
5.) ANDREW SADECKI and KARINA NAWROT (Poland)
6.) SALVATORE TODARO and VIOLETA YANEVA (Bulgaria)

アマチュアラテンでは、私好みのダンサーがいなさすぎっ(--メ)
私がちょっと惚れてたヴァレンティン・クマコースキーはボールルームダンスをやめてしまい、ラップなんて歌っちゃったりしてタレントさんになっちゃた(-“-)アニエロ・ランガラはIDSF主催の競技会にしか出場しないし、あ〜あ(+o+)って感じ。

今回アマチュアチャンピオンになったのはイギリスのニール君。彼がまだおそらくユースの世代で、パートナーがいなくても1人でセムリーの練習会に来ていた頃から知っているだけに、ずっと応援しています。
彼は私達が現役選手として踊っていた姿を知る、数少ないアマチュアの1人かもしれません。子供の頃からイギリスでダンス修行を積み、イギリス人のリチャード・ポーターをコーチに持つ、ネオイングリッシュスタイルダンサー。体型もスリムだし、人柄の良さが顔に表れているので、彼の事を嫌いっていう人はいないと思います。エカテリーナはラテンダンス界のファッション番長だから毎回ドレスも楽しみだし、何と言っても彼らの振付けは楽しい。特にジャイブにはジャイブ、スウィング、リンディホップ、ブギウギの要素が散りばめられていて、見ている人々を笑顔にしちゃいます。そして股関節、膝、足首といった関節の使い方とボディウェイトの上げ下ろしが絶妙で、「さすが本場英国仕込み!」のテクニックで軽やかに踊ってくれます。
しかし残念ながら、他の種目ではイングリッシュスタイルの欠点とも言える特徴を露呈しています。それは、ボディリズムが単調で、ヒップアクションよりもフットタイミングでリズムを刻む動作が目立つ事。また、体重移動をしている時に両足を使ってボディウェイトの上げ下ろしをしないので、動きに抑揚が無くてフラットになりがちである事です。
彼の場合、振付がそれほど複雑では無い割にコネクションに無理が多い事、本当の意味でのコネクションの利用の仕方を習得していない事に起因すると思われます。
彼がプロになったとしても「みんなの憧れのダンサー」にはならないだろうなぁ…なる為には、ベーシックテクニックの深〜い理解が求められます。

<オナーダンスでジャイブを踊るニール君とファッション番長>

デンマークのザニベラートは、冴えなかった。腹筋を固めすぎだよなぁ…といつも思う。いわゆるデンマークスタイルだから仕方がないか…でも、股関節の自由度が減ると動きにくいから、おそらく随分無理やり体を動かしているんじゃないかな?カワイソ〜(>_<)

デンマークはいつも大応援団を引き連れて英国に乗り込んできます。観客席で応援のウウェーブが起きているような感じ。ファイナルに入ったもう一組のデンマーク人カップルは女の子に特徴があります…鼻がデカイんです。顔の大きさも西洋人にしては大きめかも。
彼女はペラッとした黒のシースルーのドレスを着ていましたが、パソドブレの時だけ長いスカートをはいて登場しました。私は単純に「確かにあのドレスじゃ印象が軽すぎるからなぁ…」と思いましたが、後でイギリス人ジャッジと話をした時にその行為が違反であると知りました。
その昔、われらが師匠であるゲイナー・フェアウェザー大先生が競技中に奥へ引っ込んでスカートを着用してくる事で出遅れてしまった事があったのですが、その後に「ラウンドの最中にドレスチェンジをしてはいけない。違反した場合、自動的に最下位となる。」というルールができたのだそうです。でも、今回はそれが適用されなかったみたい…だって3位になっちゃったもん。どういうこっちゃろ?

<ラウンド中のドレスチェンジはNGの場合も…>

デンマークつながりで、もう1組…10年ぐらい前から応援しているブルガリア人のRoselina Donevaちゃん(モウドヴァのドーリンのパートナーだった女の子)が、今年からデンマークのMorten Loweと踊っていたとは知らなかったわ。すごいですよね、ダンスの為に母国ブルガリアを離れ、イタリアや香港、今度はデンマークに住んでるのかな?頑張れロッセリーナ!

ロシアのキリル君を私が初めて見たのは5〜6年前。彼がユースとして初めてブラックプールに出場すると言ってた時。あの頃はカリカリに細くて、困ってるテディベアみたいな顔もどことなくうちの松崎裕太郎に似てたのに、今ではたくましく成長して髭まで伸ばして…オトコになったわねぇ(#^.^#)胸のあたりが硬いのと、エルヴィラちゃんの内転筋が弱いのが気になるけど、今回の成績にクサらないで頑張って欲しいわ(*^^*)

<オトコになったキリル君、クサらず頑張れ☆>

<アマチュアファイナリストのお尻>

アマチュアラテンのファイナル結果
1.) NEIL JONES and EKATERINA SOKOLOVA (England)
2.) MARTINO ZANIBELLATO and MICHELLE ABILDTRUP (Denmark)
3.) TROELS BAGER and INA JELIAZKOVA (Denmark)
4.) MIRCO RISI and MARIA ERMACHKOVA (Italy)
5.) FERDINANDO IANNACCONE and YULIA MUSIKHINA (Italy)
6.) KIRILL BELORUKOV and ELVIRA SKRYLNIKOVA (Russia)

あぁ、それにしても…求む怪物ダンサー!!