私のブラックプール

須田雅美

2008/6/21

毎年のようにブラックプールに到着すると、初めて来た頃とほとんど変らないのを不思議に思う。 「変らないで欲しい…」という気持ちもあるけど、あまりのヒドさに毎年ガッカリするんです。 今年は最もヒドかった!! 車を降りた途端、臭いツーンとすえた臭いが鼻をつく… 私達のフラットの近くにはフィッシュアンドチップスとゲームセンターがあるので、 子供や酔っ払いが食べ物や飲み物をそこらじゅうにこぼしちゃうからだと思うけど、 今年は本当にクサかった!しかも1週間滞在していても慣れる事がありませんでした。 今思い出しても吐き気がする(+д+)オエ~ッ。今年はお天気が良かったのが幸いでした。

ダンサーの聖地(メッカ)、ブラックプールでのダンスフェスティバルっていうぐらいだから、 世界中からダンス好きが集まるんだけど、毎年のように来ている人と今年だけ観光で…って人もいますよね。 初めての人達にとってのこの町の印象ってどうなのかしら? やっぱり町の臭いなんか「海の近くだからね…」と気にせず、 バンクホリデーで仲間とキチガイ騒ぎする酔っ払いを見ても「行楽地だからね…」と広い心で見守り、 美味しいレストランがなくたって「イギリス料理はまずいっていうし…」と納得し、 イベント期間限定のダンスショップを巡るだけではなくてヘンテコなお土産屋さんで 「ブラックプールタワー」の置物やその絵がついたティータオル、 よくフットボールの試合で見かける変な帽子…いずれもすぐに捨ててしまう、 どうでも良い物を買っちゃったりして楽しむのかな?

今回ロンドンに到着した時に、出入国管理官のお姉さんに「目的は?」と聞かれて、 「ブラックプールでダンスコンペの観戦するんだ」と言うと、 ちょっと笑いながら「ブラックプールって好き?」と聞くので「NO」と明先生と口を揃えて答えたら、 「ヒッドイとこよね~」と笑ってた…と、都会に住むイギリス人に馬鹿にされちゃうようなトコなわけ。 ダンスの先生達も「ノーカルチャー」「ブサイクな人が多い町」と嫌う人が多いのです。 行楽地らしく酔っ払いも多いし、ウカれてイカれた男女がおかしなファッションで明け方まで叫んでいる。 犯罪も当然起こる。ペンキがハゲ落ち、訪れるたびに潰れていくショップの数々…。 寂れた貧しい町。ダンスがなければ2度目の訪問は決して考えない町…かな。

このヒドイ町にもなんだか洒落たショッピングセンターを作る計画が昨年から遂行されているの。 でも完成するまで2年ぐらいかかるって感じだったかな? 今年は少しだけビルの一部が出来てたみたいだったけど、そこで事件発生!歩いてるとヘルメットをかぶった、 外国の「men at work」のカレンダーに出てくるような男性が、 歩きタバコをする明先生に「タバコの火を消して!ガス漏れしてるから!」と忠告をしたのです。 建築中のビルのどこからかガス漏れしてたみたい。 フラットを出てしばらく歩いたところでガス臭さを感じていたので、 思わず私は「やっぱり?」なんて答えてました…私が話しかけられたワケじゃないのに…(*´`*) その建築中のショッピングセンターの周りは一時閉鎖されて、暇そうな店員さんがブラブラしてた。 けど、すぐ隣らしきビルは営業続行。ホントに隣り合ってるけど、大丈夫なのか?と心配しちゃいました。 でもそんな街角で明先生はアイスクリームを購入。 ショッピングモールのチョコレート専門店にはだいたいチョコレートアイスがあるの。 ちゃんとチョコレートの香りと味がして、しかもスモールサイズでも十分の食べ応え。 曇り空でちょっと肌寒かったけど、甘い物って食べると幸せになるから寒さなんて忘れちゃう。ほんの一瞬だけど。

コンペの事は色んな人がブログやHPで書いてるだろうから、私は今年の感想だけ…。 毎年観客が減って行くみたいで寂しいような、すいてて嬉しいような… これは他のどの競技会を観に行っても感じる事です。 バンドは指揮者が2~3年前に代わり、頑張って毎年のように新曲を発表しているけど、 今年のルンバとパソは頂けなかった。パソは踊りにくそうだし、 ルンバはリムスキー・コルサコフのシェヘラザード第3楽章「若い王子と王女」、 8分の6拍子を無理やり4拍子にしてるから折角のエキゾティックな原曲が台無し。 しかも、私には「と~しの は~じめ~の ためし~とて~♪」と聞こえてしまい、 ピンと来ない…「現役じゃなくて良かった…」と思っちゃった。

チームマッチではUSAが圧倒的に強かったし、他の日のイベントでもUSAが活躍してたけど、 「ホントにアメリカ生まれの人ってこの中にいますか?」と聞きたくなる。 リッカルドがアメリカの国歌演奏の時に右手を左胸に当てたときなんか 「あ~ぁ」って気持ちになりつつ笑いそうになった。ニセモノっぽいもん。 アメリカ人の知り合いにその事を愚痴ったら 「特にスポーツの世界で活躍するのは外国から来た人間ばかりだよ。」と話してました。 アメリカンドリームっていうのは、いまだに残ってるんですね。

ダンスフェスティバルに参加するなら競技会だけではなくコングレスにも! コンペの無い土日に開催されるのですが、毎年世界のトップダンサーと世界的に有名なコーチャー (元トップダンサーが多い)を講師に行なわれます。 私達も過去にドニー、エスパン、マイケル・ステリアノスのアシスタントとして参加させてもらった事があります。 これは世界の人々の前で顔と名前を覚えてもらう絶好のチャンスでもあるんです。 今年はアマチュアの瀬古組が、世界チャンピオン;ジョアンナ・ルーニスの幼い頃からの師匠である ルード・ヴェルメイ氏のレクチャーに起用されていました。同じ日本人として誇りに思いました。 他にハイライトを挙げるとすれば、元世界チャンピオンのジョン・ウッドが今の奥さんの雪ちゃん (なぜか日本語のニックネームを持つロシア人)をパートナーに、往年のブルドーザーのようなスローを踊ってくれた事と、 ユッカ・ハパライネンとアラン・トンズバーグというスカンジナビア人2人がラテンリズムについて身体を使って力説してくれた事、 そしてレネ・ミケルソンがレクチャーの中で離婚した元夫のコリン・ジェイムスとルンバを踊った事でした。

ブラックプールといえばあと1つ、私、毎年気になっていることがあるんです。
競技会が行われるウィンターガーデンのエンプレスボールルームの天井…なぜか風船が1個、いつも張り付いてるの。