世界ラテンアメリカンショーダンス選手権 セミファイナル

須田雅美

世界ラテンアメリカンショーダンス選手権の1次予選が終わると、フロアでは開会式のリハーサルが始まりました。
選手控室に様子をうかがいに行ってアドバイスをしていると、審査委員長のハネスが部屋に入ってきて「次に呼ばれた選手は待合室に集合して下さい」とナンバーをコールし始めました。隆裕と貴子は自分が受付をした時にもらった封筒のナンバーと、実際に踊ったエントリーナンバーが違っていたので審査委員長にダブルチェックをしたのですが、残念ながらセミファイナルには残っていませんでした。
明先生は本当にがっかりしてた…隆裕と貴子にも「ゴメンな、オレのせいだよ」と謝っていました(/_;)

予選の司会をしていたプレトネフ氏に「教え子達はダメだった(-_-)」と言うと、彼は「う〜ん、あの曲はクイックステップの曲だから、ジャッジの頭の中に『おや?この曲でラテン?』なんて疑問符が浮かんじゃうんじゃないかなぁ。説得力のある物じゃないと…」って慰められた…ウッセ〜よp(`ε´q)オメ〜みたいにオツムの固い奴らがボールルーム部門にのさばってるからクラシックショーダンスはツマンネ〜んだよっ凸(▼皿▼)と言いたいところをグッと抑え、「アドバイスありがとう」と社交辞令的なお礼を笑顔で述べました…社交ダンスですからね。

ジャッジの皆さんはこの時間にイブニングに着替えです。私もドレスに着替えました。そしてスタジオのパーティーでは忙しくて一緒に写真を撮ったことが無い、北條パパと二男坊くん…タキシード姿でツーショットを1枚パチリ☆

会場のスクリーンでは過去映像をバンバン流していました。その中には元統一全日本チャンピオンの大村・和田組の映像も流れていて懐かしかった。しかもその作品が「マーシャルアーツ」だったので「この場所(マーシャルアーツ競技場)にピッタリじゃん!」と私は心の中で爆笑しちゃった。大村君、恵ちゃん、ゴメンなちゃい^^;
会場の飾りつけはブルーっぽいライトが当てられ、雪国らしくて素敵。日本の会場もリアリティが丸見えの体育館的な照明を止めてこんな雰囲気にできないかなぁ…?テーブルの上にはフィンガーフードとワイン、ミネラルウォーターが並んでいて、まるでホテルのバンケット♪でしょ?

19時06分、客席は上の方までほぼ満席となり、大会開始。

出場選手達の入場時にはスクリーンにその国の国旗が映し出されていました。Япония(日本)は例によって最後に登場。日の丸がドド〜ンと映し出されておりました(^◇^)残念ながら落ちてしまった中村・山田組も、ここまでは代表としてのお仕事です…とても悔しかったと思います。お疲れ様(>_<)!金光・吉田組は次に進んでワクワクしていた事でしょう。とても良い顔をしていました♪

全員が出そろったところで、タタールスタンの若い男女による迫力ある民族舞踊が始まりました♪言葉は全く分からないけど、広い大地を思わせるような中央アジアらしい音階が楽しかったです☆トルコとブルガリアとモンゴルが混ざったような民族衣装、女性の長〜い三つ編みがとっても可愛かったなぁ(人´∀`)特に刺繍がしてある皮のブーツは輸入したいぐらいのデザインでした。

会場にはタタールスタン国旗、ロシア国旗、カザン市旗が掲げられ、国歌斉唱ではタタールスタンの国歌が歌われました。また、大会のプログラムにはタタールスタン共和国大統領の祝辞が掲載され、開会式ではタタールスタン共和国首相、青少年体育及び観光庁大臣もステージ上でご挨拶をされました。写真のブルージャケットがスタニスラフ・ポポフ先生、向かって左隣が首相です。

<左からタタールスタン国旗、ロシア国旗、カザン市旗>

<お大臣様までお迎えする一大イベントでした>

選手はずっと立ってて可哀想だったなぁ(=_=)この中で何人ロシア語を話せる人がいるか数えてみると…20人ぐらい(@_@;)この世界選手権に出場した選手が17組34人だとして、ロシア語を操れない人の方が少ないなんて!米ソ冷戦には結果的にソビエトが勝利したのかもしれない(-ω-;)

セミファイナルに進出した選手はドイツ2組、ウクライナ2組、アメリカ2組、リトアニア2組、フランス1組、日本1組の10組。2度見ると、予選で見えなかった部分に気が付いたりするものです。(明先生のコラムにリンクされた動画をご参照に、この先をお読み下さい。)

#3 Valera Musuc & Nina Trautz(ドイツ)
迫力のある音楽の割には動きが小さいって、ダメだと思うのよ。でも、ラテンダンスの要素は入っているし、予選よりも良く踊れているようでした。父上のルディー・トラウツが観に来ていると言っても、これ以上はないだろうな…。

#2 Stefan Erdmann & Sarah Latton(ドイツ)
男性が後ろ向きで腰を振るって気持ち悪いモノですね(>Д<;)このカップルは女性に体力が無い。体力が無いと集中力が切れやすくなるので、リフトなど危険な技が入っている時には怪我につながります。
司会のポポフさんが、演技の最中に「ハイッ、ありがとうございました〜!」って感じで勢いよく切り込んじゃったのには笑った(^○^)ポポフさんをかばうわけじゃないけど、要するに「長い作品」と感じさせちゃった彼らの力不足ですね。

#16 Oleksansandr Skarlat & Yulia Lesokhina(ウクライナ)
やっぱり時間が関係してるのかな?意味は分からないけどミステリアスです。そして、リバース系のステップが上手いことに気が付きましたよ。

#14 Maxim KoKozhevnikov & Anastasia Grigoreva(アメリカ)
観客がシブイところで拍手をすることに驚きました。とても細かなステップと手の動きで情熱的な表現をした部分で拍手喝采が起きたのです。残念ながら日本では拍手がおきないか、拍手をする人がいるとしたらそれは、他人が躊躇しても一番に拍手をする勇気のある私と私の母ぐらいでしょう(笑)
ルンバは相変わらず下手っ(-_-メ)と思ったけど、まるでショートムービーを観ているかのようで、もう一度見たい!と思わせる作品です。

#12 Arsen Agamalyan & Oksana Vasilieva(ロシア)
「若者と死」のパクリだけど、だからこそ私は好き。イメージが作りやすいなぁ。ラテンダンスの基礎的な踊り方、例えばチェックド・フォワード・ウォークが上手くなれば表現に音楽性と深みが出るのに(>_<)
地元ロシアの選手、そしてロシア人の魂の叫びを歌うヴィソツキーの曲…会場からはブラボーという声が飛び交い、拍手が鳴りやみませんでした。

#23 金光進陪 & 吉田奈津子(日本)
あの大喝采の後に出てくるのはかなりプレッシャーが掛かったんじゃないかなぁ…。そのせいか動き出しは動きが硬く、音にも遅れ気味に見えました。でもうねりのあるステップと大きく広がるスカートを効果的に使っているのでとても迫力がありました。
進陪くんの衣装はバレエ「海賊」のコンラッドみたいですが、バレエのように裸ではなく、サンタン色の網タイツと同じ生地をシャツにして装飾をつけていたので、特に外国人選手と比較される今回は体が大きく見えて良かったと思いました。
私は応援しながら「やっぱりエスパンってさすがだなぁ…」と心の中で白旗を揚げておりました。実は彼らの作品は、エスパン教授が以前にも他の外国人選手、そして二ッ森亨先生・由美先生のために振付けたことがある曲だったのです☆

<バレエ「海賊」より…何を隠そう、私も踊りました!>

#15 Andrey & Natalie Paramonov(アメリカ)
ナタリーの長身を生かしたステップが多く、とても大胆に見える作品。シンプルな黒いドレスが洗練された雰囲気に見えるのは、風に吹かれたようなプラチナブロンドの髪型のせいかもしれません。ちびまる子ちゃんの花輪くんに見えなくもないけどね(^ω^)

#7 Justinas Duknauskas & Anna Melnikova(リトアニア)
ジャスティンがアレをパソのポジションと言うなら、残念ながらNG…肋骨が前に突出し過ぎています。でも、フラメンコ調に踊ってるのかもなぁ。足をペタペタ置いて見えるけど、足のサイズがデカイからそう見えるのかなぁ(-.-)ラテン男性の雰囲気を出そうとして少し粗野な雰囲気を出すのは良いけど、リードまで荒っぽくなりすぎてしまいがちです。ジャスティンくんよ、頭の中を冷静にして情熱的な演技を!
日本ではタンゴのショーって人気があるけど、どうやらこの国ではイマイチみたい。観客の反応が思ったほど良くありませんでした。

#19 Christphe Licata & Coralie Anfray(フランス)
コメントするまでもない。

#17 Oleksandr Yelizarov & Natalia Ivanova(ウクライナ)
つまらない作品だけど、男性が力持ちなので回転しながらのリフトにスピードがある。観客からは、アーティスティックなリフトに拍手が起きました。

#11 Dmitry Kolesnikov & Maria kejzman(ロシア)
調べてみると、どうやら映画「300の」音楽を使っていたらしい。紀元前480年のスパルタ国の兵士を演じているはずなのだが、なぜ彼はタキシードパンツ履いてるの?中途半端な衣装はNGだね。そして女性は関節も硬そうで、しなやかに踊れない上にドレスのトラブルまで起きちゃった…気の毒(^_^;)

#6 Justas Kuniskas & Ekaterina Romankove(リトアニア)
女性のつま先の美しさにばかり目が行きそうですが、実は床を転がりながら体勢を2回も変化させる技を非常にスムーズに成功させています。ルンバウォークは下手だけど、その他の選手と比べたらファイナルに行ってもいいかな…と思いました。

寝技って見た目より案外難しいのです。私達も経験があるのですが、まず女性に勇気が必要。そして体幹の強さ、もちろん男性に引っ張られても引っ張り返しながら移動をするぐらいの腕力も必要です。2人で重なって転がっている最中、下になった女性の上には男性が乗っかってくるワケで、回転の勢いが足りないと途中で止まってしまい、「お前はすでに死んでいる…」とケンシロウに秘孔をつかれた悪役のように「(+_+ /)/ヒデブッ」とヤラれてしまうワケです。私が初めてこういう振付けをして頂いた時には、体育教師だった母にバレーボールの回転レシーブのコツを教えてもらったり、柔道の受け身を研究したりしたものです(;-_-)お母さん、あの時はありがとうm(__)m

さて、ファイナルまでの時間には地元タタールスタンのアマチュアダンサー達がデモンストレーションを行いました。可愛いエンジェルの羽を付けたジュブナイルカップル、そしてフォーメーション、地元のトップダンサーのソロなどを踊らせるポポフさんの作戦は賢いなぁ…だって両親や親戚、友人がそれを観に来ますからね。

アリーナ席はモーターショーのコンパニオンみたいな女の子達がご案内…全員キンパツのロングヘアで統一されていました。ポポフさんの好みかな(´-ω-`)う〜む

ポポフさんが張り切ってファイナルに進もうとしましたが、審査委員長のハネスが選手達の休憩時間が短すぎるとしてそれを遮りました。するとポポフさんは機転を利かせ、ジャッジ1人1人を詳しく紹介し出したのです。これには驚きましたよ!でもロシア語だからワカんなかったです(~_~;)

北條章宏先生の時には、「日本を代表するジャッジとして豊かな経験を持つと同時に、国際的に活躍するダンサーを育てている人物です。また本日は、全日本チャンピオンとして活躍したそのご子息カップルAkira Hojo とMasami Sudaも東京からわざわざ観戦に来て下さっています。ご紹介しましょう、Akihiro Hojo!」…と、おそらくこんな感じだったのではないかと思われます。「ヤポンスキー」「チャンピオン」と自分達の名前ぐらいしか理解できませんでした(´・ω・`)ショボーン