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スタッフコラム

ロンドンインターに行ってきました プロフェッショナルボールルームの部

須田雅美


この日プロボールルームで最初に気になったのは、前から好きなロシア人ダンサー、マラット君(Marat Gimaev)。アマチュア時代に日本インターにも出場した事がありますよ。
母国ロシアではアマチュアとして出場できる競技会に制約が多い…を理由にアメリカに渡ってプロになったと聞きました。
アマチュア時代から随分身長差があるパートナーのアリーナと踊っています。彼のコーチ、ルカ・バリッキは、「アイツは真面目で才能があるんだけど、教えられた事を自分で感じて納得できないと全く踊れない…っていう、難しい性格なんだよね。」と話してくれました。
彼らが個性的に見えるのは身長差があるから…ではありません。身長差を感じさせないムーブメントの大きさもさる事ながら、足使いが美しくて丁寧なので、意外性をもたせたルーティンをスムーズに変化をつけながら踊れるからじゃないかなぁ?それにしても、ホームベース型の白い顔…キョトンとした表情で踊る彼が「ピノキオ」に見えて仕方がないのは私だけかな?

お次はドーメン君とモニカちゃん(Domen Krapez & Monica Nigro)。彼らがアマチュアの頃からモニカちゃんの可愛さに惚れていつも見ているのですが、残念ながらあまり上手になった!とは言い難い選手だと思うのよね(^_^;)「お、変わったな…」と思ったのは、彼らがメインコーチを変えた時だけ。彼らはとっても人柄が良いらしいんだけど、それとこれは別。だいたいさぁ、現役の選手であんなに顔に締まりがなくポッチャリした感じのダンサーって、ドーメン君以外いないよぉ。大柄な選手の中でもドーメン君の動きのもったり感ってのは特別ですね…なんつ〜か「そのモザイク解除してくれ!」って言いたくなる、輪郭がぼや〜っとした動き。世が世ならベスト24で終わるダンサーだなぁ(=_=)

アマチュアチャンピオンだったギジャレッリ(Andrea Ghigiarelli & Sara Andraccio)はアマチュア時代にはイタリア人らしい形の鼻を整形し、今年は国籍もイギリスに変更して、プロとして戦う準備万端☆アマチュアで踊っていた頃との差は、それほど見当たらない気がしました。彼らは22年も一緒に踊っているんですから、当たり前かもしれませんね。結婚式をあげたそうですよ。新婚さんいらっしゃ〜い!ですね。


(ポストカードみたいですね☆)

そしてヴィクターとアナスタシアの評価が上がっているので、良く観察してみた。
確かにアナスタシアの肉感的でしなやかな肢体には、女の私でも「抱いてみたい…」と惹かれますねぇ。
ただ、ヴィクターはアナ・ミケットと踊っていた時の方が踊りやすそうでした。単に見た目の問題もあるかもしれないけど、コーチを変えた事によるのではないか?と思われます。
いわゆるピクチャーポーズというものを踊る時、アナスタシアの体がとても重たく、時にはヴィクターに絡みついてしまうので、彼女のウェイトで彼が倒れてしまうんじゃないかとハラハラさせられました。
そのせいなのか、ヴィクターはもともと脚をしっかりと使うダンサーなのに、今回はひどく力んで見えちゃった。特にタンゴではプロムナードポジションから前進していく時に頬の筋肉がブルルっと震えるぐらい力が入っていたのです。彼の場合、脱力し過ぎると上の歯が唇で全部隠れてしまって、ムンクの叫びみたいな口元になっちゃうから、それを誰かに指摘されたのかな?
いろんな意味で、バランスって大切ですね。


(バランスって大事ですね…)

ミルコはパートナーを変えてからアルナスに勝てた事が無いけれど、お父さんはいい仕事してますよ…脚の割き方がハンパ無いっす\(*o*)/
よく「胸から脚だと思って踊りなさい」と指導をしたりされたりするけど、彼はまさに胸から脚と見えるかのように踊っています。ようするに単に両足を股下から開くだけではなく、体の奥の方の細かい筋肉を使いながら重力や引力に負けないよう、自分の質量プラスパートナーの質量と運動量を含めて自分の運動量をコントロールし、徐々に右脚と左脚の体重配分を変化させていく…
長いっ!書くと長いよっ!しかも私は物理学とかって苦手だったから詳しい計算式なんかは分かんないけど、運動ってものは解剖学や運動力学やらを使って分析すると、無駄が無くて美しい動きになるそうじゃありませんか!
ダンスはタイムや距離を競い合う運動ではないけど、体を使っていることに変わりはない。様々な動きがコントロールできたら表現が広がるってもんですよね。難しい点は、2人でバランスを取りながら同時に運動をしているという事です。似ている運動はコンタクトスポーツ…格闘技ですね☆
ただし、ボールルームダンスには基準の動きがあります。その動きって実は、その時のチャンピオンの動きになる事が多いのですよ。
分かり易いところでいえばルーティン(振付け)ですね。皆さん、トップダンサーが踊っているルーティンに憧れて「あのステップカッコいい☆あんなの踊ってみたい!」って思いますよね。その他にもちょっとした仕草…アゴを突き出したり舌を出したり、首を素早くかしげてみたり…ある意味そのダンサーのクセだったり体型によって必要なアクションもまた、「取り入れなければならない」動きになったりします。
だからダンスは「進化」もしますが、「飽き」もくるんです。そして…そんな時期が来て、チャンピオンが交代する事もあるのです。
ミルコと前のパートナーのアレッシアが世界チャンピオンになった頃、すでにアマチュア時代から彼らが踊る姿を見ていた世界の人々は、少しずつあのスタイルに飽きてきていたように見えました。そして、パートナーをチェンジした時がチャンス!とばかりに、違うスタイル…ある意味王道のイングリッシュスタイルで踊るアルナスをチャンピオンに押し上げてしまったようにも感じました。
ミルコはスタイルを変えません。男性に女性が合わせていく…それが普通です。以前とは身長差があるので、バランスポイントを変えたりしているはずですが、時々それがうまく噛み合っていないように見える事もあります。野球でいえば、ピッチャーが投げたせっかくのストレートを、キャッチャーがミットをずらしてボールにしちゃう感じ?
エディータちゃん、上手くなるかなぁ…他人事だけど心配(+o+)


(なんか方向がずれてないかい?)

アルナス君はねぇ…最近のチャンピオンには珍しい、ぼんやりしたダンサーですよね。ノーインパクト、人畜無害、カボチャパンツをはいた田舎の王子様。腰から剣を抜いたらフルーツ用の爪楊枝みたいなのが出てきそうだ。カチューシャって前は「そりゃやり過ぎだろっ!」ってツッコミ入れたくなるぐらい動いて、ルックスもだいぶ毒々しかったけど、なんだか薄くて淡い、ジョーゼットのようなイメージになりましたね。その方がみんなが喜ぶのかい?



結果:Professional Ballroom:
1.) ARUNAS BIZOKAS and KATUSHA DEMIDOVA (USA)
2.) MIRKO GOZZOLI and EDITA DANIUTE (Italy)
3.) VICTOR FUNG and ANASTASIA MURAVYEVA (USA)
4.) ANDREA GHIGIARELLI and SARA ANDRACCHIO (England)
5.) DOMEN KRAPEZ and MONICA NIGRO (Slovenia)
6.) VALERIO COLANTONI and YULIA SPESIVTSEVA (Russia)


(全カップルを写真に収めるのは難しいです…)

ところで、ミルコと子供の頃から一緒に踊り、世界チャンピオンにもなったアレッシア・ベティは、ミルコと踊っていても何か物足りなさを感じていたという事実…成績だけが全てじゃないんだなぁ…と、あらためて考えさせられます。
でも、それは中途半端な人には言えないセリフだな。
ま、彼女は引退してアンジェロ君と一緒にいるようだから、これまでの事なんてチャラにできるほど幸せなのではないでしょうか。
ニコリともしなくて可愛くない女性だと思ってたけど、複雑な乙女心を抱えてたんだね。おめでと、アレッシア。



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