ホームスタッフコラム › 2011年世界プロラテン選手権 in モスクワ その3

スタッフコラム

2011年世界プロラテン選手権 in モスクワ その3

須田雅美


4月16日(土)〜その3〜
準々決勝(ベスト24)には日本代表の織田組も進出☆二人は自信満々に、そしてすごく楽しんで踊っているように見え、ロシアの皆さんにも好印象を与えたはずです。
ベテランのスクフカは早くもバテてきたのか足が動かなくなってきました。
その反対にフランコはようやく調子が出てきたように見えました。
セルゲイは時々メリアの踊りがフラットになってしまう事はありますが、終始自分達に集中したパフォーマンスで観客を喜ばせていたと思います。休憩時間に会った時「結構良く踊れてると思う」と言っていました。その気持ちは大事です。その日に向けて練習を積んでいくのですから、当日自信が無いようでは困ります。その時点でライバルに負けてしまっています。ただ、競技会中は自分達の感覚と見た目のギャップが生じる場合もあるので、コーチがその場にいたほうが良いですね。


(準々決勝でパソを踊る織田組)

準決勝進出者はフランコ、ソルディ、ジャスティナス、マリトースキー、リューピン、スクフカ、オム、マウリッツォ、モセイチュック、セルゲイ、スマーギン、リッカルドの12組。ここに残るには1アマチュア時代にも国際的な競技会に出場していた、で、だいたいベスト24以上には残っていた 2国際的な審査をする先生やダンサーに師事しており、実力が認められている 3今が旬…上り調子の話題の選手 この3つのいずれか(もしくは複数)に当てはまっていなければなかなか難しい(*_*)


(準決勝の様子)

準決勝のベーシック種目は〈ルンバ〉でした。スピード感などは皆無ですが、カップルそれぞれの男女のやりとりを見比べる事ができました。中でもリッカルドはベーシックの理解の深さを見せてくれました。しかし、フィガーを踊る際のコツや2人の位置関係、またフィガーのオリジナルイメージが曖昧なまま現在に至っているようなファイナリストもいて残念でした。
例えばリバーストップを踊る際パートナーと身体をコンタクトするポジションになっていないとホールドをしたままでは左回転がしづらいのですが、スクフカとメリンダは位置関係とメリンダの身体の向きが悪くメリンダがステップしづらくなっていました。くっつく事でなんとかごまかしてはいましたが、本来はスクフカがメリンダの背中に回した右腕をもう少し浅くずらし、メリンダのボディがそのゆとりのできた彼の右腕の方に向いていれば彼女自身もステップしやすかったのです。


(リバーストップを踊るスクフカとメリンダ)

コンティニュアスサーキュラーヒップツイストでは女性が左足前進ウォーク、次いで左へスウィブル→右足ディレイドフォワードウォーク(膝を曲げる)、次いで右へスウィブル…とテキストにあります。簡単に言えば男性の周りをスウィブルで方向を変えながら前進とヒップツイストを繰り返すフィガーなのですが、フランコのパートナーのオクサナの前足の膝が曲がりっぱなしだったのです。原因はスウィブルの速度が遅かった事と前に伸びていく足の膝の伸びが遅かった事と見ました。多分フランコは踊りにくかったはずです。
ルンバでは音楽や運動がゆったりしているため、音楽を長く使おうとしてリズムが曖昧になってしまう女性ダンサーが多いようです。ユリアもリッカルドとカップルを組んだばかりの頃はそれがヒドく、気になって仕方がありませんでしたが、最近ではリッカルドの体重移動ときっちり合うようになりました。きっとドニー師匠(リッキー達もそう呼んでいます)に厳しく「躾け」られたんだと思います。

〈パソドブレ〉では「シェイプ」が大事と良く言われますが、このシェイプってまずはこのダンスを踊る時の姿勢(スタンディングポジション/ポイズ)を保ったまま運動をしていく最中にできる形です。だから最初の姿勢づくりに失敗しているとどんなシェイプを作ろうとしても格好良くはなりません。これに着目して比較をすると、マリトースキーはシェイプを作ろうとしてお腹が出てしまったり、重心が上がり過ぎてしまったりして、堂々とした勇敢なマタドールらしさが演出できていません。それに比べてリッカルドやセルゲイのシェイプは無理なく自然にできたシェイプに見えます。それは彼らの基本的な「両足を揃えて立つ」というスタンディングポジションがマタドールを模した姿勢の作り方をしており、その姿勢をキープしながら動いているからでしょう。


(パソのシェイプ比べ)

また、女性にも同じようにシェイプが求められます。かつて女性の役割は「ケープ」「フラメンコダンサー」「闘牛の牛」だと言われていました。しかし15年ほど前から、女性はまず「女性」である事を前提に、男性が扱うケープの軌道を想像させるように動いたり、ラティーナ特有の情熱的でアグレッシブ(積極的)な気質を表現するようになりました。より人間らしく、あくまでも男性と女性が2人で踊るという事と、よりマタドールのイメージに近い表現をする傾向になってきたのです。では、「牛」はどこへ行ったのでしょう?間違っても宙に浮いてはいませんよね… 。だから男性も女性も、やたらと上を向くパフォーマンスはしなくなりました。写真で比べるとすれば、ジョアンナのようにポーズをとるよりは、メリアのように表現する方がより現代風だと言えます。

休憩時間には再びロシア人ダンサーのデモがありました。海外からもジャッジがたくさん来る大きなイベントでロシア人のトップダンサーを踊らせるなんて、さすがにポポフ氏は売り込みが上手い…以前は芸能プロダクションのような会社もやってたんですよ。
さて、なぜかここで、ユリアの元パートナーのマキシム・コツェニコフが新しいパートナーのアナスタシアって女の子とルンバ、そしてショーダンス「アバター」を披露しました。ラテンのイベントで、どうしてヤツが踊るのか意味不明。そして彼女が何者か知らない私は、隣に座ってたフランスジャッジのパートナーさんに「ねぇねぇ、あの子アマチュア?」と聞くと「全然分かんない…」と言ってましたが、どうやらまぁまぁ有名な女の子らしい。どう見ても普通の「丸っこいガイジン」だけど(-_-)しかも私、アバターって見てないから、全身ブルーに塗って出て来られても困る(+o+)我慢して見てましたが、内心は「早くファイナル始まらないかな〜」という気持ちでした。




(マックスとアナスタシアのアバター)



▲ ページの先頭へ